〔本〕そういや、東京大空襲(大虐殺)60年目だったようで、

NHKが特集番組(NHKスペシャル 東京大空襲 60年目の被災地図 )を組んでいました。見ました。小学生の頃に、「蛍の墓」を観て、あまりの救いのなさにトラウマになったのですが、今回もそれなりに生々しくて衝撃でした。東京大空襲は非戦闘員を計画的に大量殺害していくという意味で、独のアウシュビッツと同じ、大虐殺であるといえ、人類の犯した大悪行の一つとして歴史に刻まれるなと思いました。原爆ばかり指摘されますが、東京大虐殺でも10万以上殺されているわけで、広島、長崎と合わせ、深く心に刻み付けなければならないなと思います。

しかし、このような蛮行を戦争中とはいえ米国が行ったのはなぜなのでしょうか。戦時中米国が落としたビラを祖父が所有していて、そのコピーが手元にあるのですが、そこには「ご存知のように人道主義アメリカは罪のない人達を傷つけたくはありません」などと白々しく書いています。所謂じゅうたん爆撃をやった国がよくいいます。
それはおいておいて、東京大空襲の背景心情ですが、私は一つは全体主義ファシズム諸国)の殲滅という意思、もう一つはアジア系人種に対する人種差別があるのではないかと考えています。
前者に関して、どこかの新聞で第二次大戦の被害を大きくしたのは連合国が戦史史上極めて異例な「無」条件降伏を求めたためであると書いてありましたが、連合国の念頭にあったのは南北戦争のような殲滅戦であったと考えられ、敵国を徹底的に殲滅することにあったと言えます。事実、ドイツは政府を転覆させられ、結果ソ連兵によるドイツ女性の強姦・略奪・暴行の悲劇を生みました。日本は沖縄戦硫黄島等の日本軍の奮戦のかいもあって、ポツダム宣言(政府に憲法改正を含む体制の転換を要求するが、現政府を転覆することはしない)という「有」条件降伏によって終戦となりましたが、日本においても米国が殲滅戦を行おうとしていたことは事実でしょう。
後者に関しては、作戦立案者の倫理観の欠如という点が指摘されていましたが、戦時法に明白に違反するような非人道的な作戦を平然と立案できる心理には、やはり敵国という以上に未だ根強い有色人種への人種差別があったと考えるのが自然だと思うからです。
いずれにしても、軍事的には軍事施設を攻撃するだけで勝利は疑いようがなかったのにも関わらず、わざわざ民間人を大量虐殺する目的であのような空襲を行ったことが正当化できるわけがありません。

ただ、ここで今の米国人を非難しても仕方ありませんし、それでは中国や韓国のような執拗で醜悪な国になってしまいますから、米国の行ったガリオア・エロア資金等の戦後の日本に対する実質的な賠償を評価し許すことが、未来志向で生産的な態度だと思います。ただ、歴史は歴史ですから、事実は事実としてしっかり検証し、批判するべきところは批判して、後世に伝えていく必要があると思います。人類の悪行の歴史の1頁として記憶に刻むのが筋であると思います。