〔政見〕憲法

憲法改正賛成が7割、9条改正賛成が5割というデータが東京新聞に出ていました。憲法そのものは理念(基本的人権の尊重、三権分立)こそ憲法の王道を行っていたと言っても良いものでしたが、この世論の背景には合理的な根拠があると思います。
一つは、現行憲法GHQ草案を訳したものであって日本人の血が通っていないという点です。日本の風土や歴史、日本国と切っても切れない関係にある天皇の記述が不十分であるというのが主な問題点であると考えます。天皇論は主権論という難しい問題を内在していますが、この点は清算する必要があると考えています。
次に、憲法9条の問題があります。9条の問題点は自衛を実質的に否定しているという一点につきます。理念としては他国を信頼するということなのでしょうが、北朝鮮や中国はもちろん、国際法を無視しまくっている米国を見れば、この理念が歴史的教訓や経験則を無視した空疎で虚構に満ちたものかが分かると思います。
よく9条があったから日本は平和だった等の発言を読むことがありますが、現実を見れば9条を守らず自衛隊を持ち、日米同盟を結んだからこそ日本の平和が守られたというのが事実に基づいた健全な見方でしょう。国際社会の現実から目を背け、歴史的経験から目を背け、他国を信頼して丸腰になれば他国は絶対自国を侵害しないと考えることは宗教でなくてなんでしょうか。この醜悪な欺瞞にみちた宗教に未だ3割の人が感染しているという事実がやるせない現実です。はっきり言えば、憲法9条は国民の幸福という観点からして普遍的に不合理な条文であるということです。
他にも環境権であるとかプライヴヴァシー権等様々な加憲案が提示されていますが、プライヴァシー権に関しては13条で導くことができますし、環境権は財産権制限の根拠としての公共の福祉に読み込めばよい話であると思います。従って、このような論点は本質的な問題点ではないということです。
まとめると、現行憲法は前文と9条に欠陥を持っていると私は考えています。最近、民主党は政治機構の問題点を追求していますが、政治任用(スポイルズシステム)を採用することが国民主権に適うとは思っていません。官僚機構が実質的な政治的決定を行っているとしてもその決定が全国民のためになっているならば、正当性契機を重視する見方からは、この状態も国民主権であると言えるからです。

以上、憲法記念日に際して、私の考える現行憲法の問題点を二点挙げてみました。憲法とて法律ですから、人が守ろうという意識をもってして始めて実効があがるわけです。その意味でも、日本国民が自ら制定し、自らの独立を自らの力で守る、日本らしい憲法になってほしいと思います。