〔雑談〕萌えとは何かという記事が東京新聞の書評欄に出ていた。

萌えとは男性性の消失願望であるとか、家族の復権であるとか書かれている。

前者に関しては、むしろ逆だと考える。
なぜならば、萌えの対象は大抵、男の勝手な願望であり、具体的には男性の支配欲を満たしてくれる従順な女性(多くの場合幼女)であることが多いからだ。脳内で擬似恋愛をすることが萌えであると勘違いした記事を書いているが、最近の萌えは既に擬似恋愛ですらなく、男性の衝動的な欲望をさっと満たすものでしかないと感じる。その意味で動物的なのである。つまり、萌えはむしろ男性の持っているオスの感覚をそのまま投影したものであって、極めて男性的といえる。

次に後者に関してであるが、これは家族計画やAIRを指して評しているのであろう。こちらは、孤立した個が散在している社会状況の中で、現代人の心を捉えているのである。家族という安定性と永続性に恵まれた基盤は現代人の心の拠り所として機能するからである。特に、ここで言う家族が封建的な家父長制の組織ではなく、共に支えあうという比較的やわらかいものであるという点は重要だ。

まとめると、アキバ系とか萌えとか現在認知されているものは、一方で動物的であり、一方でひどく人間的なものが混在していると言える。今朝の東京新聞の記事には、なんとかこの現象を理解しようと右往左往している姿が感じられる。

ただ、オタク現象はあくまで突発的に現れたわけではなく、ときメモエヴァから脈々と作り上げられてきた歴史がある。メイド喫茶の背景に月姫という同人エロゲーがあったことをどのくらいの人間が分かって論じているのだろうか。

以上のことから、私は「あ、アキバ系ね」とか「萌え」とか軽々しく分かったような口ぶりで語っているマスコミや一般人を見て、違和感を感じているのである。別にいいけどね。