〔本・政見〕小沢主義

安倍晋三著「美しい国へ」にぶつけた本ということなので、読んでみた。
どぶ板選挙の記述は印象に残った。それとコンセンサス社会を破るリーダーが大事、国連中心の安保、官僚不信が主な内容。国民に近い場所で、国民の生活を豊かにするということを目標にして仕事をするのが政治家という一本の芯が通った人だなということは伝わってきた。
しかし、美しい国へ以上に、結局具体的に何をするのかがよく分からないという点は否めない。リーダーの重要性を提唱しておきながら、その典型である小泉総理を一刀両断に批判するのはいささか無理をしているのではないか。不良債権処理を断固として推し進め、歳出抑制・規制緩和等により官の領域を縮小し、経済を回復させた、小泉内閣の功績をそれなりに評価する必要があったのではないか。
その意味で、自民党のやり残していた課題である憲法改正教育基本法改正などの、国家の自立を疑わせる内容の基本法制の改正を具体的に掲げている「美しい国へ」の方が時代に沿っていると感じた。