true tears vol.4

比呂美と慎一郎が兄妹かもしれないという衝撃の話と、乃絵に慎一郎が告白してしまうという話を収録。慎一郎の告白は分かりにくい。比呂美に幸せになってほしいから、比呂美が好きな(と慎一郎が思っている)準と別れさせたくないという気持ちは、分かりづらい。男としてのやせ我慢を感じる。三代吉がいうように「馬鹿じゃないの」、比呂美がいうように「おせっかい」という評価もできる。また、三代吉はこうもいっている「おまえ、かっこいいよな」と。これらが、それぞれ男性の見解と女性の見解を象徴しているとすれば、この作品は非常に文学的だとの評価できる。
慎一郎の心理は読み違えやすいが、慎一郎は上記の感情と(乃絵に痛いところをつかれまたほめてほしいところほめてもらっているという意味で)振り回されていると感じており、これを「おれと付き合えよ」という言葉に集約させたわけだ。つまり、恋愛という意味では、やはり慎一郎は比呂美なのである。
比呂美や愛子の心理を分析するのはまた面倒なので、やめておくが、この作品はこういうことで奥が深すぎる。分かりやすいエンターテイメントとしては評価を受けづらいというのはそういうことだろう。乃絵は可愛いんだけどね。