「新しい日米同盟」田久保忠衛著

著者は杏林大学法学部教授、国際関係論専攻。
その割には、結構感情的な文も目立つ。特に戦後のよくできた絵空事、護憲平和論が嫌いのようで、この点は共感するところがあった。彼が主張は、一言でいうと、親米ナショナリストたるべしというもの。
要は、日本人としての誇りを取り戻す、つまり日本国民が自ら血を流す覚悟をもって自国を防衛するという精神を取り戻し、その上で初めて対米対等国になれるという当たり前の主張が展開されていた。
その補強資料として、現在の日本を米国を始めとする諸国がいかに軽く見ているかという事実が湾岸戦争など具体的な歴史にそって、たんねんに引用されている。
当たり前のことを当たり前といえなくなってしまった国家について語る時にはこの人のように丹念に事実をつみあげる必要性があるんだなと思った。それは自戒もこめてである。