〔本〕梅田望夫著「ウェブ進化論-本当の大衆化はこれから始まる」

グーグル、ブログ、ウィキペディアSNSといった、95年のネット革命以後に起こった、第二世代の革命の及ぼす影響について主に論じている。ネットの普及から、ネットの活用へ。コンテンツの玉石混交から玉をより分ける技術の発達によって、コンテンツ収集力の大衆化が起こり、同時にコンテンツ作成の大衆化が進行したという事実の指摘。
私自身のことを言えば、00年以来ネット空間に参入し、当初は一般人作成のHPを巡回していたが、次第にヤフー、新聞、メーカー作成の公的なHPか対極の存在である2ちゃんねるばかりを見るようになった。ネットの膨大な石ころ情報に辟易し、公序良俗に欠ける言説を刺激的にとらえつつ限界を感じていた。確かに、一昨年04年頃から第二期の革命といったものを感じ始めたのは確かだ。玉がネット上に転がり、簡単に入手できるようになり、一方でフラッシュやAAなどを一般人が作るようになった。こうした動きは、産業としての製作者側の懸念を呼び、著作権の強化と情報流通と著作の大衆化という流れとの間に摩擦を起こし、これらの着地点は未だに模索中であるという状態である。
ただ、言えるのは、情報流通の高度化(裾野の拡大)と大衆化という流れは決してとまらないであろうということである。一覧性・固定性に優れた紙媒体、保存・流通に優れた電子媒体。電子媒体の有用性は否定できず、紙媒体も滅びはしないが、電子媒体への移行はどんどん進むであろう。
この変化の只中に、我々は存在しているという実感を得る刺激的な書だった。