中国・韓国との友好のため

非常に日本的な感覚である。他国の嫌がることをすべきではない及び事を荒立てたくないという一般的感覚である。
しかし、外交関係において他国の嫌がることを全くしないということはあり得ない。他国との関係で見解が異なる、相手国が不快になるというような問題はいくらでもあるし、それだからこそ外交・話し合いで折り合いをつける必要があるのだ。その意味で、この問題はどのように折り合いをつけるべきなのかという問題となるはずである。
しかし、そもそも、この問題が中国・韓国に実害を与える問題なのかという点を考える必要がある。中国・韓国が騒ぐのであいまいになっているが、一国の首相が国内の施設に行くことは、中国・韓国に実害を与える問題ではなく、明らかに国内問題である。これは米国、台湾などに代表されるように世界のほとんどの国の共通認識である。
ではなぜ、中国・韓国が国際問題であるとしているのか。それは、中国・韓国が、「参拝を過去の戦争、日本の植民地政策を美化するもの」と捉えており、戦争犠牲者への哀悼という真意を理解していないからであるとの論も見られるが、むしろ中国・韓国はこれを十二分に認識したうえで、日本国内を揺さぶり、領土・資源などの実質的問題において日本を牽制することができるカードであると捉えているのではないか。実際、マスコミ、野党、与党非主流派などが反対し、尖閣諸島やガス田の問題などから焦点がずれている現実がある。つまり、靖国問題は中国・韓国にとって不利益がおきているから国際問題になるのではなく、利益になるから国際問題にしているのである。
その意味で、日本国内が分裂せず、この2国の内政干渉に毅然として対応していれば、両国にとって国際問題にするメリットがなくなり、この問題は収束すると思われる。逆に、日本がこの内政干渉で右往左往すれば、ますますこのような傾向を強め、問題は大きくなり、日本の国益を損ねていくと考えられる。