全体として、

基本的な史実に基づきかつ人間心理を鮮やかに描きつつ、戦国乱世の世の中に切り込んで行った斉藤道三、明智光秀織田信長の三人三様の人生模様を描き出した秀逸な作品だったと思う。
前半は、道三が一浪人からおまあに取り入ってちょっとした機転を利かせて油屋を繁盛させ、さらには土岐頼芸に取り入って美濃守護職を乗っ取る話。相当穏やかに描かれていたが、自分を引き立ててくれた恩人、ひいては主君をも追放、主君の側室をまるで物のように貰い受ける等、さすがは下克上の代表、世間からみれば極悪人である。だが、同時に有能、異才の光る切れ者であったことには間違いないし、興味の沸く人物である。後半は、信長と光秀を中心に物語が回るが、有能でありながら苦悩の耐えない生真面目さを持つ光秀の人間性と本能寺に至る人間心理をリアルに描ききっていたという印象があった。信長役の伊藤英明、光秀役渡部篤郎のとも相当名演技であったと感じた。